[フォトグラファー]上野雅之
2009年度コニカミノルタフォト・プレミオ年度賞『大賞』を受賞された写真家上野雅之とはいったいどんな写真家なのだろうか、今回受賞した『砂漠の人』についての発言の断片を拾った。
「私は20歳のときに友人とシルクロードの旅に出ました。その旅で、タクラマカン砂漠とゴビ砂漠を訪れ、その広大な砂漠に感動しました。帰国後、旅行雑誌に『インドのタール砂漠には人が生活している』という記事が載っていたんです。私はその一行に魅了され、『砂漠に人が本当に住めるのか』ただそれが知りたくてインドのタール砂漠を目指しました」。

「その時は、4度もこの砂漠の地を訪れるとは考えてもいませんでした」。

「初めてタール砂漠に取材に行った時は、その暑さに参りました。また、砂漠での素朴な生活、砂漠の人々のたくましさ、そして夜空に輝く星に感動しました」。
「一緒に暮らしていると彼らの生活の知恵を知り、学んだおかげで、日本に戻っても活用できる知恵も身につけられました」。

「一緒に生活をするという事は、朝ヤギの遊牧をして、電気もガスも通っていないので暗くなる前に食事を作り、真っ暗な中、寝る前に1時間ぐらい家族団らんの時間があり、そして寝るという生活を送るのです。だから、なかなか写真を撮る時間がなかったです。空いた時間とか、光がきれいな時は『ちょっと待ってて』と撮影しました」。

「DMの写真が一番お世話になったサリヤギダニー(サリヤギ一家)の娘さんです。撮影させていただいた方々に、時間を作って写真を渡しにいきたいですね」。
「タール砂漠には村が2つあってどちらにも1ヶ月滞在しました。隣の村まで100km離れており、バス・ラクダ・徒歩で移動しました」。

「2回目の撮影旅行のときに、タール砂漠で生活している彼らの苦しみも知りました。もともと彼らはパキスタンの人でインドパキスタンの間を行商などしている人々だったのです。それが、ある日国境が引かれパキスタンに戻れなくなったのです」。

「私は、インドでは『メグアル』と呼ばれていました。インドの食堂でおじさんに名付けられたのです。uの発音がないので、ウエノがユイノになっちゃうんですよね。だから、このニックネームを私はインドでは通しました。おそらくですが、カースト制のひとつの呼び名であると思います」。
「何度も取材に行くと肉の解体現場や結婚式の撮影をしていても、始めに感じていた驚きがだんだん薄くなってきました。それは、そこで私も生活をしているからだと思います。だから、生活の様子とポートレートを撮影する事で、そこで生活している人々を写真に残せるのではないかと思ったのです」。
「今回の写真展では、村人のもつしなやかさや美しさも表現したかった。なぜなら、4度のタール砂漠の取材を続ける事により、日本と異なる砂漠での生活が私にとって特別ではなくなってしまい、新鮮さが薄れてしまったからです。しかし、その反面村人たちの名前の由来や家族構成、また、彼らが生活する領域や抱えている悩みを知り、村人たちへの理解が深まりました。そのため、その彼らの事を少しでも日本の国の人々に紹介したいと思いました」。

「今回のシリーズは機会があれば撮りたいですが、今のところは考えていないです。今後は純粋に面白い写真(笑わせるのではなく)を撮りたいです。東京を10年ぐらい撮ってはいますが、発表する場がないから創らないですね。ベタもまだとってないです」。

「会場に自由帳を置いているので、そこに率直な意見などを書いていただけるとうれしいです。ホームページもあるのでそちらの方も見ていただけるとありがたいです」。
上野雅之写真展「砂漠の人」
会場:コニカミノルタプラザギャラリーC
開催期間:2010年7月8日(木)〜2010年7月20日(火)
開催時間:10:30〜19:00(最終日15:00まで)
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